安藤元雄「まちづくり論」 

安藤元雄氏が
こう書いています↓


わずか三十坪なり五十坪のささやかな土地が
ただそれだけで暮らしを支える
砦になってくれるなどと思う方が間違いで
本当はその土地がどういう位置と環境にあるか
つまり、その土地の周辺が広い範囲にわたって
どうなっているか、が問題なのだ。(要約)


住民は住民にとって
互いに環境である。(引用)


新・区画整理対策のすべて

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いまから10年以上前に書かれた本ですが
今日に対応しているばかりか
20年、30年後にも
生きる言説が多く載っています。


この本は、区画整理そのものを否定したり
土地所有者(直接的利用者)が
役所や大地主に対峙するための
戦術論に終わるものではありません。


だからこそ
「20年後、30年後」が口癖の
わたしのような人間でも、手に取ってしまいます。


この本には安藤元雄氏の力強い言葉が
たくさん出てくるわけですが
都留重人氏の地域ごとの環境整備計画(p72)の引用も秀逸です。
こういう話をする人が、30年も40年も前にいたことに驚きます。


これらの人々の考えに触れると
「実装」という言葉を
リアルに感じることが出来ます。

安藤氏、都留氏は何十年も前から
すでに新しい「まち」の姿をイメージしていました。
2010年のいまでさえ
色褪せないイメージです。

彼らに限らず、さらに歴史を遡れば
やはりそういう人物はいたでしょうし
外国にも数々の思想家がいます。



ところが、思想や理想としてそれらを構想することと
社会の中に仕組みとして「実装」できることは
イコールではありませんでした。


しかし、今であれば
あるいは20年後、30年後であれば
安藤氏や都留氏の思想を
社会の中に、「まちづくり」のなかに
「実装」することが可能なはずです。



それは時代が優れているからではなく
民主主義が進んだからでもなく
情報技術の発展が
我々のコミュニケーションのあり方、環境認識を
変えてくれたからではないでしょうか。



我々の世代としては
そうした先人の思想を大切にしながら
実際にどう「実装」して、新しい社会を築いていくのかを
主に議論すべきなのかもしれません。